M45

アイドルについてぼちぼち

その矛盾は正解なのか

今日はカドが作中で出現した日だそうで、記念に(と言ってはなんですが)放送終了から色々考えたことを記録しておこうと思い投稿します。

正解するカドの全話ネタバレを含みます。

特に最終話を見ていない方にはおすすめしません。ご了承の上、お付き合いください。

 

 

 

1 沙羅花の存在がそもそも沙羅花の思想に矛盾しているのではないか

サラカ(以下、沙羅花のことはサラカとさせてください)はザシュニナが揶揄したように異方では普遍的な哲学である「自然主義」の一派なのが引っかかる。宇宙は異方が作り出したものの、それに異方が干渉するべきではない、人間は人間の手で進歩するべきだという、8話をめいっぱい使って語られたこの思想を持ちながら、サラカは自分に異方存在としての力を残したまま宇宙で40億年超も過ごし(近づきたいだけという理由で/11話)、挙げ句の果てには人間の姿に生まれ、異方存在としての自覚を持ったまま多数の人間と干渉している。力のほとんどを破棄したというだけで彼女は依然として異方存在のままであり、そのサラカが宇宙に生きて干渉し続けていることが本当に人類にとって「自然」なのかと疑問に思う。

自分は宇宙にとどまっていても良いけれどザシュニナは異方に返したい、という思想が自然主義に基づくものであるならば少しでも異方の力を持つサラカ自身も異方に帰るべきでは?

 

2 ユキカという矛盾

サラカが異方存在としての力を操というトリガー付きで閉じ込め、秘匿して生きてきたとしても、娘のユキカは異方の力を異方存在以上に扱える特異点でしょ!? それを人類である花守に16年間育てさせ、宇宙に野放しにするという行為は明らかに自然主義と反するとしか思えない。ユキカの居場所に対し「さあ?」と答えた後でよく自然主義ヅラして「途中なんです」とか言えるなと最終話を見返して呆れるしかなかった。これから宇宙にユキカが干渉し続けることは下手したらザシュニナよりも危ないかもしれないのに、家族だからというなんの確証もない理由で放っておくの? 10分くらいしか対面してないのによく信用できるな……

ユキカが暴走したらそれこそ人類にもサラカにも止める手立てはないのに、自然主義最高!宇宙は人類のものであるべき!という顔をしているサラカのことは本当に理解できない。「宇宙は私の思い通りになるべき」の間違いでは?人類のものだというのなら、ユキカを野放しにすること自体が矛盾している。

 

3 ザシュニナは悪だったのか

上の通りにエセ自然主義サイコーな展開で終わったために、人類に無理な発展をもたらしたザシュニナが本当に真道らの言うような「間違い」だったのかすら疑問に思えてきて仕方ない。ザシュニナは真道を、その他人類を無理やり異方に変換できる異方の力を持ちながらも最後まで真道の承諾を取ろうとし続け、最後も真道の意思に沿ってそうはしなかったし、なら殺してしまおうだとかユキカに出会って「宇宙ごと消すか!?」とか思ってしまう危ないヤツではあったけれども人類に無理やり進歩を押し付けてはいなかったと思う。ザシュニナの提示する未知のものに対して興味を示して干渉したのは紛れもなく人類だし……やっぱりザシュニナを真道の遺体に触れさせずに殺めたのは納得できない。「私も途中だ」と気づいたザシュニナをなぜ容赦無く殺める必要があったのか?行きすぎた自然主義じゃないのか?自然主義を盾にするな!!!!!!!

 

そもそも私は自然主義ではないので宇宙を異方が作ったというなら宇宙は異方の好きにしてもらって構わない。勝手に人類の「あるべき姿」を決めて人類の代弁者ヅラをするなよ……

まあ要するに「自然主義」を掲げておきながら「宇宙の自然状態」を自分に都合よいものに捉えて、それに反すると判断したものは排除するという姿勢が本当に無理!!!と言う話で、そんなものは自然主義の貫徹じゃなくて自己中でしかないし、矛盾まみれの自然主義をもとにザシュニナに対してお前は間違っていると決めつける話の展開に納得しろと言う方が難しい。

 

こんなツッコミどころ満載の自然主義がまかり通る世界を描いたこのアニメの中に、正解なんてある?